埼玉県飯能市、西武池袋線と西武秩父線が切り替わる吾野駅の裏手に「林道アズサズ線」があります。
この林道を途中まで進んで行くと、かつて使われていた鉱山施設の廃工場のようなものが現れるということで、見に行ってまいりました。
探索日:2018年06月
廃道化が進む林道「アズサズ線」
吾野駅から西武秩父方面に向かって1つ目の踏切を越えると、林道アズサズ線の起点があります。噂の廃工場にはここからアタックします。
途中まで赤い旗が立っています。この旗は関東3大岩殿観音の一つと言われる「岩殿観音窟」のものです。旗を目印に15分ほど歩くと岩殿観音窟に着くようですが、今回の目的はこちらではありません。
旗は右へ続いていますが、左へ進みます。
放置された廃車
しばらく歩いていくと紺色ボディーの廃車体が現れます。廃工場へはこの場所を必ず通るので、ネット上では少々有名な廃車体になっています。
ここへ来るまでの道は、既に車が通れるような道では無くなっている悪路なので、ここに放置されてから相当な年月が経過しているものと思われます。工場が現役当時から置いてあったものなのでしょうか。
巨大な3連筒が特徴的な鉱山施設の廃墟
廃車体を見かけてから直ぐにフェンスのようなものが現れました。明らかな人工物の登場にこの先に何かあったことが伺えます。
しばらく歩き、開けたところに出たタイミングで見上げると、なにやら建物が見えました。どうやらアレが目的の廃工場のようです。
近寄ってみると、大きな筒のようなものが3つ横に連なっていました。
大きくてカメラの画角に入りません。
道らしきところを辿って上に登ってみました。
ここから向こう側に渡れそうです。
果たして何があるのでしょうか。
錆びて崩れ落ちないか、足元を確認しながら恐る恐る渡ってみます。
無事に渡り切りました。
社名と安全第一的なものが書かれた看板なのでしょう。
裏側からは書いてある内容は見えませんでした。
本当なら、なんて書いてあるか確認したいところですが、足場が劣化しているので反対側の通路まで行くことはやめました。まさに安全第一。
工場内の屋根も全て落ちてしまっています。
通路には、落ち葉や苔などが溜まっています。
3連に連なっていた筒の中を上から覗いてみました。
この周辺で掘削した鉱石を蓄えておくためのものだったのでしょう。結構な深さがあり、誤って転落してしまったら到底一人では上がって来れそうにありません。
ここは山の中、当然周辺には誰一人いません。もしも転落してしまったら助けを呼ぶこともできず人生終了のお知らせです。
一番左の筒の上にはショベルのようなものが残っています。
かつては何処からかコンベアー等を使って、鉱石をここまで運んで貯蓄していたものと推測されます。
ショベルがあるだけで工場感があふれ出ています。
足場の横には、一番最初に見た3連筒の横に降りられる階段がありました。このまま降りてみようかとも思いましたが、脆そうに見えたのでやめました。
今回の探索では思ったよりも草木の伸び具合がよかったので視界が悪く、周辺を隅々まで探索することができませんでした。
事前に調べていた情報では、筒の下に入れる横穴があったり、索道のゴンドラが残っているそうなのですが、今回はそこまで探すことができませんでした。今度は見通しの良い冬場に探索したいと思います。
まとめ:建物の正体は「鋼管鉱業 武蔵野鉱業」鉱山施設跡の一部
今回探索したこちらの建物は「鋼管鉱業 武蔵野鉱業(現・JFEミネラル 武蔵野鉱業所)」が使用していた鉱山施設の一部と言われています。
鋼管鉱業は1949年設立、2004年に川鉄鉱業と合併してJFEミネラルとなりました。以前探索した廃集落「白岩集落」の麓にあった鉱山跡地が、その「JFEミネラル 武蔵野鉱業所」です。

かつて1938年から1950年まで、その「JFEミネラル 武蔵野鉱業所」から吾野駅周辺まで索道が敷かれていました。この場所はそんな索道の中継地点だったのではないでしょうか。
鉱山施設跡地への交通アクセス
西武池袋線・西武秩父線「吾野駅」から徒歩20分程度。
- 【住所】埼玉県飯能市坂石町分(地図で見る)