埼玉県秩父市にある浦山ダム周辺には多くの集落が存在しています。
かつては多くの人たちで賑わっていた浦山の地ですが、現在ではその多くが人のいない廃集落となってしまっています。かろうじて人の住んでいる集落もありますが、高齢化や住みにくい土地が原因で過疎化が進行しているようです。
探索日:2017年3月
「岳集落・嶽集落」と「十二社神社」
今回訪れたのは、そんな廃集落のうちの1つである「岳集落・嶽集落」です。
この集落の中には現在でも現役の「十二社神社」という神社も建っていて、他の集落とは違い、そこそこ人の出入りがあるようです。
ホラーゲーム「SIREN(サイレン)」のモデルになった場所
この岳集落・嶽集落は「PlayStation2」用ソフトのホラーゲーム「SIREN(サイレン)」に出てくる「羽生蛇村(はにゅうだむら)」のモデルになった集落の1つとしても有名で、ファンの方も頻繁に訪れている比較的マイナーな廃集落となっています。
また、岳集落・嶽集落とは別に同じく秩父市内にある廃集落「山掴集落」も「SIREN(サイレン)」のモデルとなった集落と言われています。
埼玉県秩父市「岳集落(嶽集落)」
浦山公民館付近には今も現役である集落「日向集落」があり、その日向集落にある「日向公会堂」付近から岳集落へ向かう山道が続いています。
この山道を歩いている途中、みかんを食べている野生の猿を数匹目撃しました。(こちらの存在に気が付き猿は逃げていきましたが、もし出会った時は刺激を与えないようにしましょう。)
しばらく山道を歩くと、今回の岳集落の目印となる「練馬区青少年キヤンプ場」が左手に見えてきます。この場所から200メートルほど進むと今回の目的地である岳集落に到着します。
岳集落・嶽集落を写真撮影する
壁も無くなり、廃屋というより解体現場のような感じ。
でも、空気や雰囲気は全く違う。
木造建築の立派なお宅。
こちらは“まだ”原型を留めておりました。
戸に残る割れたガラス。
危険ではあるけれど、この割れたガラスがまた一段と廃屋にいい味を出してくれる。
中を覗くとテレホンガイドがありました。
「日本電信電話公社」(現・NTTグループの前身です)
よく見ると「昭和51年10月1日現在 昭和52年2月1日発行」と書かれています。
今回、残留品といえるようなものはほとんど無く、今までに写真で紹介したものが殆どでした。
自転車とリヤカーの残骸。
この自転車についているマーク、私が小学生の頃、じいちゃんの家で見かけた記憶があり懐かしく感じました。
壁も崩れ落ち、今にも倒壊しそうなくらい傾いています。
蔵の中には農作業道具が少し入っていました。
岳集落・嶽集落の六地蔵
岳集落・嶽集落の入口付近にはお地蔵様(六地蔵)が立っています。
なぜ、ここに六地蔵がいるのか。
その理由が書かれた説明文が横に貼られていました。
ここに昔からいたお地蔵様が行方不明になりました。昔からあったお地蔵様で、馬頭様のそばに一つだけあった大きなお地蔵様です。
(中略)
この大きな1つのお地蔵様には昔から言われがあって、手を付けると、やけどをすると言われました。手を付けると怖いお地蔵様です。
今まで嶽部落は何もありませんでしたが、そのさわりで(平成)25年8月に嶽部落が大火事になったのかもしれません。また、災難があると困るので、「お地蔵様」是非、元の場所へ帰ってきてください。お願いします。
2013年8月、放火による火災・大火事が発生
「お地蔵様が行方不明になったことで、2013年(平成25年)8月に岳集落(嶽集落)が大火事になったのかもしれない」ということが書かれていました。
この2013年8月に発生した火災について調べたところ新聞の記事を見つけました。
空き家放火容疑で26歳男逮捕
秩父署は二十九日、非現住建造物等放火の疑いで、住所不定、無職佐藤裕太容疑者(二六)を逮捕した。
逮捕容疑では、二十八日午後六時半ごろ、秩父市浦山の空き家に放火し、木造二階建て約百三十平方メートルを全焼させたとされる。署によると、「自殺するつもりで家に入って火をつけたが、燃え広がったのを見て怖くなって逃げた」と容疑を認めている。他の空き家二棟にも延焼し、いずれも全焼した。
「この火災は放火で、自殺をするために火を放った。でも怖くなって逃げた。」ということみたいです。自殺のために放火するとは身勝手も大概にして欲しいですね、何を考えているのだか…。
人がいなくなって廃墟や廃集落となっても、その場所や建物などは当時の生活を知る上で貴重な資料や遺産です。決して故意に荒らしたり壊してはならないものです。
探索する上でも気を使って、当時の残された状態を大切に守っていきましょう。
埼玉県秩父市「十二社神社」
続いて集落内にある「十二社神社」の様子をご紹介いたします。
十二社神社を写真撮影する
境内には、ご利益がありそうな樹齢数百年はあるであろう立派な杉の木が生えています。
嶽集落・岳集落についての考察
岳集落にある廃屋は老朽化によりほとんどが崩れている、もしくは、崩れかけていました。
ただ、どの家も立派な木造建築で広々とした造りになっていた様子が伺えました。
残留品も少なく、急に人がいなくなったという感じはしませんでした。
住人が高齢化して仕方なくこの土地を離れた感じだと思われます。