地域によって異なりますが、毎年5月から7月にかけて初夏の風物詩「ホタル」が飛び交います。
今回は、上手に撮れるホタルの撮影方法について次の通りご紹介いたします。
- ホタル撮影に必要な機材
- ホタル撮影のためのセッティング
- ホタルをスマホで撮影するための方法
シーズン限定のホタル撮影、事前に知識を蓄えて失敗なく撮影を楽しみましょう!
ホタル撮影で注意するべきこと
まず初めにホタル撮影を楽しむために注意するべき点をご紹介します。
- 虫よけスプレーは使わない(ホタルも立派な「虫」です!)
- 懐中電灯をホタルに向けない
ホタルやカメラマンを見かけたらすぐに電源OFF - 自分からホタルに近づかない
- 他人の敷地内に入らない
不用意に林や藪に立ち入らない - ホタルの生息地を荒らさない
マナーを守って楽しく撮影しましょう。
ホタル撮影に必要なカメラ機材について
ホタルを撮影するために必要な撮影機材『ホタル撮影 三種の神器』をご紹介いたします。
ホタルを撮影するためには3つの機材が必要になります。
- カメラ
- 三脚
- レリーズ
ホタル撮影に必要な機材1. カメラ
ホタルの光跡を撮影するためには長時間露光をする必要があります。
⇒ 長時間露光が可能なカメラを用意しましょう。
「一眼レフカメラ」や「ミラーレスカメラ」をお持ちであれば、ほぼ全てのカメラで長時間露光ができるので特に問題ありません。
「コンパクトデジタルカメラ(コンデジ)」をお持ちの場合は、シャッタースピード&絞り値を自分で設定できるマニュアル撮影モードと、ピントの位置を自分で合わせるマニュアルフォーカス(MF)が付いていればOKです。
iPhoneやAndroid等「スマートフォン」で撮影したい場合は、長時間露光が可能なアプリ(後ほど紹介します)を使用すれば、一応撮影することが可能です。
ホタル撮影に必要な機材2. 三脚
⇒ ブレを抑えるために三脚を用意しましょう。
長時間露光をする場合には、手ブレを回避するために必ず三脚を使用します。10秒~30秒間カメラを1ミリもブレずに持っているなんてことは不可能ですよね。
「大は小を兼ねる」と言いますが、大きくてずっしりとした重さのある三脚が好ましいです。風が吹いてもブレないように三脚はガッチリと固定しましょう。
ただ、基本的には「小さい三脚」や「軽い三脚」でもカメラがブレなければ問題ありません。試しにお手持ちの三脚でベランダから夜景を撮影して確認してみましょう。ブレずに撮影できればOK!
柱などに巻き付けて固定するゴリラポッド等の「ミニ三脚」でもブレずに撮影できればOKです!
ホタル撮影に必要な機材3. レリーズ
カメラに触れることなくシャッターを切ることができる「レリーズ(タイマー機能付き)」もあれば便利です。
一眼レフカメラ・ミラーレスカメラには、一定の間隔で自動的に撮影を行ってくれる「インターバル機能」が付いているものと、付いていないものがあります。(初心者用のカメラには付いていないことが多いです。)
一般的なホタルの写真は、同じアングルで撮影した写真を複数枚合成したものです。上の写真は同じアングルで撮影した写真を40枚ほどを比較明合成して1枚の作品にしています。
これを行うためには、シャッターを切って30秒後にまた撮影し、そして30秒後にまた撮影、を40回繰り返します。
カメラにインターバル機能が付いていない場合はこれを手動で行うことになりますが、タイマー機能付きレリーズならこの繰り返し作業を自動的に行ってくれます。
また、カメラに直接触れないため、カメラのシャッターを指で押した時の弾みで微妙にブレてしまうという恐れがありません。(夜景撮影をしたことがある方なら一度は微ブレの経験があると思います。)
レリーズがあった方が失敗が少ない上に、自動撮影に任せている間は自分の目でホタルを楽しむことができます。
レリーズを購入する際には「タイマー機能付き」もしくは「インターバル撮影」に対応しているかを確認しましょう。
【オススメ】ロワジャパン「タイマー機能付きレリーズ」(一眼レフカメラ、ミラーレス一眼カメラ)
一眼レフカメラやミレーレス一眼カメラを持っている方で、新たにレリーズの購入をするのであれば、ロワジャパンのタイマー付きレリーズが安くてオススメです。
純製品は1万円以上するので蛍シーズンだけ使用する等、頻繁に使う訳ではないなら充分かと思います。
Canon用・Nikon用・PENTAX用などに分かれています。購入する際は、自分が使用しているカメラに対応しているかをよく確認した上で購入しましょう。
私もこのレリーズを2019年に購入してから4年以上使っています!
2024年に一度だけ電池交換をしました
ホタルを撮影しよう!
機材が揃ったら早速ホタルの撮影に出かけましょう。
ホタルスポットに到着したら、以下の手順で撮影を開始しましょう。
- 三脚をセットする
- カメラを固定する
- ピントを合わせる
- 撮影を開始する
撮影方法をざっくり説明すると、
- 三脚を使って撮影する
- フラッシュOFF
- 手ぶれ補正OFF
- ピントは、マニュアルモード(MFモード)で背景に合わせる
- シャッタースピードは、20~30秒
- 絞り(F値)は、F2.8
- ISO感度は、ISO800~3200
それでは詳しく説明していきます。
ホタル撮影方法1. カメラをセッティングする
ホタルスポットには、なるべく明るい時間帯に到着するようにしましょう。
- 周辺が明るいうちにその場所の地形を把握する
- 明るいうちにカメラのピントをあわせておく
フラッシュはOFF
フラッシュを焚くのは絶対にNG!
ホタルは他の光をとても嫌います。フラッシュだけでなく、スマホ画面の明かり、懐中電灯の明かりもNGなくらい繊細な生き物です。
ホタルの生息地で光を発する行為はご法度です。自覚は無くても、生息地をメチャメチャに荒らす行為と同じですので、気を付けましょう。
仮にフラッシュを焚いたところで、プロが撮影するみたいな良い写真は撮影できません
ピント合わせは「マニュアルフォーカス(MF)」モード
特に辺りが暗くなってからのピント合わせは何も見えないに等しいくらい難しいです。
通常ホタル撮影では、カメラのピントは背景に合わせておくのがベストと言われています。
暗くなってからのピント合わせは、1枚撮って確認、1枚撮って確認、1枚撮って確認の繰り返しになってしまうので、なかなか本番の撮影を始めることができません。
ピントを合わせる時は「マニュアルフォーカス(MF)モード」を使います。
オートフォーカス(AF)モードになっていると意図しない時に動いてしまうので、必ずマニュアルフォーカスに切り替えておきましょう。
手ぶれ補正機能は「OFF」にする
最近のカメラやレンズは高性能で、手持ち撮影でも手ブレを起こさないように「手ぶれ補正機能」が付いているものがあります。
三脚にカメラを固定してスローシャッターで撮影する場合には、手ぶれ補正機能をOFFにします。
手ぶれ補正機能の性能上、カメラを固定した状態で手ぶれ補正がONになっていると、誤作動で逆にブレが発生してしまうことがあります。
手ぶれ補正をOFFにするのは忘れがちなので注意しましょう!
ホタル撮影方法2. 撮影を開始する
ピント合わせが終わったら、シャッターを切って撮影を開始しましょう。
その場所の環境によって異なりますが、私の場合、カメラの設定は以下の通りに設定しています。
- シャッタースピード:20~30秒
- F値(絞り):最小数値(F2.8)
- ISO:その場の暗さに合わせて調整(ISO800、ISO1600など)
その場の環境にあわせて調節しますが、基本的に上記の値を基準に設定しています
ゲンジボタル(同アングルで撮影した写真16枚を比較明合成)
ヒメボタル(同アングルで撮影した写真44枚を比較明合成)
ホタル撮影方法3. 使用するレンズについて
カメラに使用するレンズは広角でも望遠でも、好みのものを使うのでOK!
その場の状況で使い分けましょう。
広角レンズの場合
手前に飛んできたホタルは大きく、奥で飛んでいるホタルは小さく写ります。迫力のある写真を撮影するのは難しくなります。
望遠レンズの場合
ホタルの光が大きめに写ります。広角レンズに比べてレンズの構造上、明るさが一段階や二段階暗くなってしまいます。その分明るく撮影できるように調整する必要があります。
iPhoneやAndroid等のスマートフォンでホタルを撮影する方法
- 質問. スマホでもホタルの撮影はできますか?
- 答え. 夜間撮影用のアプリを使えば可能です。
スマホのカメラ機能でも、長時間露光が使えるアプリをダウンロードすることで、ホタルの光跡を撮影することができます。
アプリをダウンロードした上で、スマホ用の三脚を使って撮影しましょう。
一眼レフ等に比べると劣りますが、手軽にホタルを撮影したいという方は試してみてはいかがでしょうか。
「夜撮カメラ」
「Camera FV-5 Lite」
※iOSアプリはありません。
まとめ:ホタルを上手に撮影する方法は「長時間露光」
ホタルを上手に撮影するには、カメラの他に「三脚」「レリーズ」を用意しましょう。
スマホの場合は、「三脚」と「長時間露光が可能なカメラアプリ」を用意しましょう。
10秒~30秒の長時間露光で明るく撮影、ホタルの光跡をハッキリ写そう。
同じアングルで撮影した写真数枚を比較明合成で1枚の作品にしましょう。
撮影後の仕上げ:比較明合成
ホタルの写真を撮影した後は仕上げをしましょう!
同じアングルで撮影した複数枚の写真を1枚に合成すると、見事な光跡残る作品が完成します。
比較明合成のやり方は以下の記事でご紹介しています。